Amazon Q Businessは、要約作成、インサイト抽出、業務の効率化を通じて、社内情報へのアクセスをシンプルにする生成AIアシスタントです。
はじめに
Retrieval Augmented Generation(RAG)ワークフローは、関連情報を事前学習済みモデルに組み合わせることで、AIの出力精度を高める仕組みです。AWSでは、独自のカスタムパイプラインを構築する方法と、AWSのフルマネージドサービスを利用する方法の2通りで構築できます。
マネージドサービスは複雑な処理の大部分を肩代わりしてくれるため、手軽に使い始められます。一方で、細部まで自由にカスタマイズできるとは限りません。スピーディーかつ手間をかけずに導入したいなら、マネージドサービスは有力な選択肢です。
AWS Prescriptive Guidanceによると、AWSはRAGワークフロー向けに次のマネージドツールを提供しています。
- Knowledge Bases for Amazon Bedrock
- Amazon Q Business
- Amazon SageMaker Canvas
このうち、フルマネージドでRAGを構築するならAmazon Q Businessが最もおすすめです。ただし、すべてのケースに当てはまるわけではありません。次のような場合は、ほかの選択肢も検討してみてください。
- 利用したいAWSリージョンでサービスが提供されておらず、データの移動も難しい場合
- Amazon Q Businessでは対応できない独自のカスタマイズが必要な場合
- 既存のデータベースや特定のAIモデルに接続したい場合
使ってみる
本記事では、Amazon Q Businessを使ってナレッジベースやシステムと対話する方法を紹介します。手順をひとつずつ確認しながら進められるよう、Amazon Q Businessのワークショップも用意しました。セットアップから利用までを手軽に体験できます。
このワークショップでは、Qアプリケーションを通じてエンドユーザーがランチメニューを確認したり、テーブル予約をスムーズに行ったりするデモを紹介します。あわせて、銀行業務のユーザーがアップロード済みファイル内のFAQを検索したり、特定のトピックに対するアプリの応答を制御したりする方法も確認できます。

ラボ環境
1. ユーザーアクセスの設定
まずは、ユーザーアクセス用のフェデレーテッドアイデンティティを作成します。今回はAWS IAM Identity Centerを使用します。

作成したら、Qアプリケーションを構築し、Identity Centerからユーザーを割り当てます。これでナレッジベースを設定する準備が整いました。

2. データソースの接続
Amazon Q Businessは、データベースやSaaSプラットフォームをはじめ、さまざまなデータソースに接続できます。今回はAmazon S3、Webクローラー、アップロード済みファイルをデータソースとして使います。

3. Qアプリケーションと対話する
Deployed URLからQアプリケーションにアクセスし、先ほど作成したユーザーでサインインしたら、設定したデータをもとに質問してみましょう。
- 「口座を開設してから、デビットカードはいつ届きますか?」

- 「ランチメニューにはどんな選択肢がありますか?」

データソースに該当する回答がない場合は、事前学習済みモデルに切り替えて、一般的な知識から回答を得ることもできます。

メールテンプレートの作成といったコンテンツ生成も、アプリ上で直接行えます。
- 「水曜日のランチ特別メニューをすでに予約されたお客様向けに、リマインダーメールのテンプレートを作成してください。明確でプロフェッショナルな表現を使い、冒頭の挨拶・要約・箇条書きを含む適切なフォーマットで構成してください。読みやすく、内容が簡潔に伝わるメールに仕上げてください。」

4. 返答メッセージの制御
ナレッジベースに回答がない場合に、事前学習済みモデルを使うようQアプリケーションをカスタマイズできます。

たとえば「ChatGPTとは何ですか?」と質問したときに、データソースに該当情報がなければ、アプリは事前学習済みモデルにフォールバックして回答します。

さらにルールを設定すれば、特定のトピックには社内データのみを使う、あるいは特定の入力をブロックする、といった制御も可能です。


「ビットコインに投資すべきですか?」と尋ねてみると、設定したブロックメッセージの動作を確認できます。

5. サードパーティ製システムとの連携
Amazon Q Businessは、組み込みプラグインを使ってJiraチケットの作成などのタスクを実行できます。OpenAPIスキーマで操作を定義すれば、自社システムに接続するカスタムプラグインも作成可能です。

今回の例では、自然言語でレストランのテーブル予約ができます。アプリがリクエストを生成してサーバーに送信し、レスポンスを返します。

その後は予約IDを使って、予約の確認やキャンセルが行えます。


アプリが適切なAPIを生成し、システムへ送信してくれます。
まとめ
Amazon Q Businessを使えば、AWS上でフルマネージドのRAGワークフローを素早く効率的に構築できます。データソース用のコネクタが標準で用意されているため、埋め込みモデルの選定や埋め込みデータストアの管理に頭を悩ませる必要はありません。サードパーティ製システムとの連携にも対応し、機能をさらに広げられます。シンプルなセットアップと多彩な機能を兼ね備えたAmazon Q Businessは、特に社内ユーザーを中心としたチームの生産性向上を後押しし、ITサポートや人事への問い合わせなど、繰り返し発生する業務の効率化に貢献します。
Amazon Qの最新情報・機能・お知らせについては、AWS公式ブログのCategory: Amazon Qをご覧ください。Amazon Qが生産性とAWS活用をどのように高めてくれるか、ぜひ最新情報をチェックしてみてください。
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