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Amazon RekognitionでAI画像・動画解析を実現

By Karim AmarsiMay 19, 202311 min read

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アプリケーションにマルチメディア解析機能を組み込みたい方には、Amazon Rekognitionが最適です。ディープラーニングを基盤とした画像・動画解析サービスで、顔の検出・分析・比較、物体の識別、印字テキストの読み取りなどを高い精度で行えます。AWS上に構築されているため拡張性に優れ、数百万件規模の画像や動画もリアルタイムで処理できます。

Amazon Rekognitionの仕組み

Amazon Rekognitionは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いたディープラーニング技術により、視覚データの特徴を検出・認識して画像や動画を解析します。利用方法は次のとおりです。

Rekognitionの主な機能は次のとおりです。

  1. 物体・シーン検出:車・犬・木といった日常の物体から、ビーチ・街並み・森林といった広いシーンまで、数千種類を認識します。
  2. 顔分析:顔を検出・分析・比較し、年齢層、性別、感情などの属性を判定します。
  3. 顔認識:コレクション内の顔を検索・照合し、一致候補の特定や本人確認を行います。
  4. パストラッキング:動画内の人物の動きを追跡し、セキュリティリスクの検知や顧客行動の分析に活用できます。
  5. ラベル検出:画像を解析して、その中に含まれる物体・シーン・コンセプトを自動的に識別します。たとえば熱帯のビーチで人々が写っている写真には、ヤシの木(物体)、ビーチ(シーン)、ランニング(アクション)、屋外(コンセプト)などのラベルが付与されます。
  6. 画像プロパティ:主要な色を検出し、画像の明るさ・シャープネス・コントラストを測定します。
  7. 動画セグメンテーション:動画ファイルを解析し、意味のあるシーンやショットに分割します。動画のインデックス化、コンテンツ管理、ターゲティング広告などで威力を発揮し、動画コンテンツの理解と整理に役立ちます。
  8. テキスト検出:画像や動画からテキストを検出・抽出します。視覚コンテンツ内の文字情報を識別できるため、ドキュメント解析、ナンバープレート認識、AR体験などに応用できます。
  9. 感情検出:画像や動画に映る人物の喜び、悲しみ、怒り、驚きといった感情を認識・分析します。視聴者の反応を測ったり、特定の感情を引き出すコンテンツを設計したりできるため、カスタマーエクスペリエンス、広告、エンターテインメント分野で活用できます。
  10. コンテンツモデレーション:露骨または示唆的な素材を自動的に検出し、安全でない、または不適切なおそれのあるビジュアルコンテンツの識別とフィルタリングを支援します。SNS、ECサイト、教育機関など、ユーザーに安全な環境を提供する必要のある企業や組織に有用です。
  11. 有名人認識:エンターテインメント、スポーツ、政治など、各分野の有名人を数千人規模で識別します。メディア分析、コンテンツのレコメンド、広告などに活用できます。

AWSコンソール内のAmazon Rekognitionダッシュボードで取得した顔分析のサンプル

Amazon Rekognition入門チュートリアル

このチュートリアルでは、Amazon Rekognitionにおけるラベル検出の概念を紹介し、AWS Management ConsoleとAWS SDK for Python(Boto3)の使い方を解説します。

AWS CLI環境のセットアップ

  1. 未サインインの場合は、AWSアカウントコンソールにサインインします:https://console.aws.amazon.com
  2. 次の手順に沿ってAWS Command Line Interface(CLI)をインストールします:https://docs.aws.amazon.com/cli/latest/userguide/getting-started-install.html
  3. アクセスキー、シークレットアクセスキー、デフォルトリージョン、出力形式を指定してAWS CLIを設定します:
$ aws configure
AWS Access Key ID [****]:
AWS Secret Access Key [****]:
Default region name [us-east-1]:
Default output format [json]:

画像保存用のAmazon S3バケットを作成

  1. AWS Management Consoleにサインインし、Amazon S3コンソールを開きます:https://s3.console.aws.amazon.com/s3/
  2. 「Create bucket」をクリックし、画面の指示に従って画像保存用の新しいバケットを作成します。
  3. 作成したS3バケットに画像をアップロードします。

権限の設定

S3バケットへのアクセスとAmazon Rekognitionの利用に必要な権限を持つIAMロールを作成するには、IAMロール用のJSONポリシードキュメントが必要です。以下は必要な権限を付与するポリシーの例です。

{
    "Version": "2012-10-17",
    "Statement": [\
        {\
            "Effect": "Allow",\
            "Action": [\
                "rekognition:DetectLabels"\
            ],\
            "Resource": "*"\
        },\
        {\
            "Effect": "Allow",\
            "Action": [\
                "s3:GetObject",\
                "s3:ListBucket"\
            ],\
            "Resource": [\
                "arn:aws:s3:::your-bucket-name",\
                "arn:aws:s3:::your-bucket-name/*"\
            ]\
        },\
        {\
            "Effect": "Allow",\
            "Action": [\
                "logs:CreateLogGroup",\
                "logs:CreateLogStream",\
                "logs:PutLogEvents"\
            ],\
            "Resource": "arn:aws:logs:*:*:*"\
        }\
    ]
}

注:「your-bucket-name」は、実際のS3バケット名に置き換えてください。

このポリシーでは、IAMロールに次の操作が許可されます。

  1. Amazon RekognitionのDetectLabelsオペレーションを使用する。
  2. 指定したS3バケットの内容を一覧表示し、オブジェクトを読み取る。
  3. CloudWatch Logsへの作成・書き込みを行う(ログ記録や監視に活用できます)。

AWSコンソールのJSONエディタを使ってIAMポリシーを作成する手順は、こちらのガイドを参照してください。

PythonとBoto3でAmazon Rekognitionを使う

  1. boto3ライブラリをインストールします:
$ pip install boto3

2. 新しいPythonファイルを作成し、必要なライブラリをインポートします:

import boto3

rekognition_client = boto3.client('rekognition')

3. 画像内の物体とシーンを検出する関数を記述します:

def detect_objects_and_scenes(bucket, key):
    response = rekognition_client.detect_labels(
        Image={
            'S3Object': {
                'Bucket': bucket,
                'Name': key
            }
        },
        MaxLabels=10,
        MinConfidence=80
    )

    for label in response['Labels']:
        print(f"Label: {label['Name']}, Confidence: {label['Confidence']}")

detect_objects_and_scenes('your-bucket-name', 'your-image-key')

4. Pythonスクリプトを実行します。

出力には、画像内で検出された物体やシーンと、その信頼度スコアが表示されます。信頼度スコアとは、ある予測が正しい確率を0〜100の数値で示したものです。たとえば画像解析で「Smiling(笑顔)」が95、「Wearing Glasses(眼鏡をかけている)」が20というスコアを返した場合、写っている人物は笑顔である可能性が非常に高く、眼鏡はかけていない可能性が高いと判断できます。誤検出に厳しいアプリケーションでは、デフォルトより高い最低信頼度しきい値を設定し、誤検出を排除してユーザー体験を最適化することをおすすめします。

ここで紹介したのはAmazon Rekognitionが提供する機能のごく一部にすぎません。顔認識、テキスト検出、不適切コンテンツのモデレーションなど、他にも多彩な機能があります。さらに詳しく知りたい方は、公式ドキュメントGetting Started with Amazon Rekognitionをご覧ください。

Amazon Rekognitionの実例ユースケース

マーケティング・広告:企業はRekognitionを使って顧客の嗜好を分析し、ターゲティング広告を配信できます。SNSに投稿された画像や動画から人気のある物体・アクティビティ・シーンを抽出できるため、消費者の興味や好みをより深く理解するのに役立ちます。こうしたインサイトをもとに、顧客の心に響くパーソナライズドキャンペーンを設計できます。

SNS運用:SNS運用担当者にとってRekognitionは、ユーザー投稿コンテンツをコミュニティガイドラインやブランド基準に沿ってモデレートする強力なツールとなります。コンテンツモデレーション機能により、露骨または示唆的なコンテンツを自動的に識別し、公開を未然に防げます。さらに、コンテンツに対するユーザーの表情を検出してエンゲージメントを分析し、ブランドに対するオーディエンスの受け止め方を把握することも可能です。

金融・銀行:金融機関はRekognitionを活用することで、顧客体験の向上と不正防止を両立できます。モバイルバンキングアプリに顔認識を組み込めば、パスワードや秘密の質問に頼らず本人確認を行えます。さらにテキスト検出機能を使えば、ローン申込書や身分証から必要な情報を抽出でき、データ入力を効率化しつつ人為的ミスも減らせます。

小売・EC:小売業者はRekognitionを使って買い物客の行動を分析し、店舗レイアウトを改善できます。店内での顧客の動きをモニタリングすることで、人気のあるエリアや商品が把握でき、商品配置や店舗デザインの判断材料になります。ECプラットフォームでも物体・シーン検出機能を利用すれば、商品画像の自動分類とタグ付けが可能になり、顧客が目当ての商品を見つけやすくなります。

セキュリティ・監視:Rekognitionはリアルタイムの顔検出・分析によってセキュリティシステムを強化できます。顔認識により要注意人物の特定、入退室時の従業員確認、群衆内の不審行動の監視などが可能です。さらにパストラッキング機能で動画内の人物の動きを追跡できるため、警備担当者は脅威の兆候を早期に察知し、迅速に対応できます。たとえば2013年のボストンマラソン爆破テロ事件では、米国史上でも最大規模かつ最も緊迫した捜索が行われました。法執行機関が容疑者を特定するまでに3日を要し、その間に犯人は事件直後の逮捕を逃れる時間を得てしまいました。当時Amazon Rekognitionが利用できていれば、マラソン中に複数のソースから収集された膨大な監視映像を即座に処理・分析できたはずです。リアルタイムでの検知・認識・追跡により、特定までの時間を大幅に短縮し、当局がはるかに早く身柄を確保できた可能性があります。

Amazon Rekognitionのメリットと倫理的課題

メリット

  1. 使いやすさ:ユーザーフレンドリーな設計により、開発者は画像・動画解析を容易にアプリケーションへ組み込めます。
  2. スケーラビリティ:AWS上に構築されており、数百万件規模の画像や動画をリアルタイムで処理する大規模プロジェクトにも対応できます。
  3. 精度:高度なディープラーニングアルゴリズムにより、正確で信頼性の高い結果を提供します。
  4. リアルタイム解析:画像や動画をリアルタイムで処理できるため、企業はイベントへ即応したり、生成されたデータからすぐにインサイトを得たりできます。
  5. カスタマイズ性:カスタムモデルをトレーニングでき、特定の業界やユースケースに合わせた物体・シーン・アクティビティの認識が可能です。
  6. 機能の自動アップデート:AWSによるRekognitionの開発・改善が続くなか、新機能や改良点は自動的に提供されるため、追加作業なしに常に最新機能を利用できます。
  7. 充実したドキュメントとサポート:AWSはRekognitionに関する包括的なドキュメント、サンプルコード、チュートリアルを用意しており、開発者は素早く学習し実装できます。さらにフォーラム、ウェビナー、テクニカルサポートなど多彩なサポートチャネルを通じて、利用時の課題解決を支援します。

倫理的課題

  1. プライバシー:顔認識技術の利用は、本人の同意なしに監視や追跡が行われる可能性があるため、プライバシー上の懸念を伴います。Rekognitionを利用する企業や組織は、関連するプライバシー規制やガイドラインを確実に遵守する必要があります。
  2. バイアス:Rekognitionを含むAIアルゴリズムは、学習データの内容によって予測にバイアスが生じることがあります。その結果、特定の属性グループや個人が不公平な扱いを受けるおそれがあります。開発者や組織は、学習データに潜むバイアスを認識し、サービスの予測を継続的にモニタリングして、課題を最小化することが不可欠です。
  3. 透明性:Rekognitionのような AI技術を使う際には、透明性の確保が欠かせません。組織はサービス利用の事実をオープンにし、分析結果に基づく意思決定の理由を説明する必要があります。こうした透明性が、顧客、従業員、規制当局を含むステークホルダーとの信頼関係を築く土台となります。

Amazon Rekognitionの料金

Rekognitionは従量課金制を採用しており、画像解析と動画解析で別々に料金が発生します。月あたりの画像処理数および動画解析時間が一定の範囲内であれば無料で利用できる無料利用枠が用意されており、コストを気にせず試せます。無料利用枠を超えた分は、解析した画像数または動画の分数、コレクションに保存した顔の数、テキスト検出回数に応じて課金されます。

料金の詳細は、Amazon Rekognition料金ページと、見積もりを作成できるWebベースのプランニングツールAWS Pricing Calculatorをご覧ください。

まとめ

Amazon Rekognitionは、AIによる画像・動画解析技術の最前線に位置し、AWSをご利用のお客様に多くのメリットをもたらします。ディープラーニングアルゴリズムを活用することで、さまざまな業界やアプリケーションに変革をもたらす最先端の機能を提供します。マーケティングからセキュリティに至るまで、本サービスはAWSのお客様に他に類を見ないインサイトと自動化を提供し、業務効率化と意思決定の高度化を後押しします。

Rekognition利用に伴う倫理的影響を慎重に検討し、ガイドラインを遵守することで、組織は個人の権利を尊重し公平性を確保しながら、このプラットフォームの可能性を最大限に引き出せます。AI技術が進化を続けるなか、Amazon Rekognitionは、AIによる画像・動画解析のメリットを取り入れて一歩先を行きたい企業にとって、欠かせないリソースであり続けるでしょう。

AWSを専門とする筆者は、主にクラウドアーキテクトとしてインフラのモダナイゼーションに携わっています。

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