
パブリッククラウドのプロに学ぶ、クラウド投資のリターン最大化
デジタル経済が次々と新しい技術を生み出し続ける一方で、多くの企業は今なお「コスト管理」という昔ながらの課題に頭を悩ませています。クラウドはさまざまな問題に新しい解決策をもたらしますが、IT予算と支出を取り巻く複雑さを解消するには至っていません。
そこでお届けするのが、新しいガイド The Cost-Conscious Cloud です。自社のビジネスに合った形でクラウドコスト最適化に取り組むためのヒントをまとめました。「使っていないリソースを止める」「アプリケーションのパフォーマンスを監視する」といった一般的なアドバイスにとどまらず、本当に成果につながるコスト削減に注力するための視点を掘り下げています。
クラウドに投資する価値
パブリッククラウドサービスへの世界的な支出が 2023年末までに1.1兆ドルに達する と予測されているのには理由があります。クラウドは、俊敏性・スケーラビリティ・信頼性・スピードによって、これまでにない水準の業務効率化とイノベーションを可能にするからです。
クラウドサービスは、必要なリソースを必要なときにサービスとして調達できる仕組みを前提としており、俊敏性が組み込まれています。自社でハードウェアやソフトウェアを購入・維持する代わりに、安全で常に最新の、需要に応じて拡張できるサービスをクラウドプロバイダーに任せられるのです。
はるかに効率的にスケールできることも、最適化されたクラウドの大きな利点です。ストレージ容量、処理能力、ネットワークは仮想マシン(VM)を介して中断を最小限に抑えながら拡張・縮小でき、需要が増えればworkloadsやアプリケーションをより大きなVMに移すだけで対応できます。
さらに、主要なクラウドプロバイダーは99%超の稼働率を保証し、バックアップや災害復旧の責任も担います。ユーザー需要の急変にも柔軟に対応できる点と相まって、クラウドは信頼性を確保するうえで最も有力な選択肢の一つとなっています。
そして、エンドツーエンドの自動化により、クラウドでは1日に数千回ものコードを本番環境にリリースでき、新機能・新サービスの提供スピードを高め、新しいアイデアをfail-fastで検証することも可能になります。多くのクラウドサービスはセルフサービス・オンデマンドで利用でき、リソースは即座にプロビジョニングできます。
コストの課題はどこで生まれるのか
クラウドコストとその管理方法を十分に理解しないまま運用していると、組織は莫大な金額を無駄にしてしまいます。3社に1社以上がクラウド予算を最大40%超過しており、12社に1社はそれ以上の超過支出を抱えています。背景にあるのは、多くの企業がIT領域で見慣れないコストモデルに直面しているという事実です。
従来、企業はITへの支出をCapex(資本的支出)の発想で捉えてきました。インフラはオンプレミス機器に対する初期投資であり、支出が予測しやすかったからです。しかしクラウドはOpex(運用支出)で管理され、利用した分だけ個別の項目にコストが発生します。
これによりリソースを必要なときに柔軟に消費できる一方で、企業は自社のニーズをリアルタイムで正確に把握し、消費に合わせて意思決定を継続的に見直さなければなりません。堅牢なコスト管理の仕組みがなければ、予算は容易にコントロール不能に陥ります。
その他、コスト最適化を難しくしているクラウド特有の事情には、次のようなものがあります。
- workloadsのデプロイ方法が複雑で、リソースの過不足やストレージの無駄が生じやすい
- 複数の割引プランがわかりにくい
- ガバナンスが弱く、クラウド支出の監視が不十分になりやすい
- クラウドの請求明細が非常に細かく、解読が難しい
コストモデルの理解が重要な理由
クラウド支出の管理は、各プロバイダーの課金方法を理解することから始まります。とはいえ、AmazonとGoogleがそれぞれどのように課金しているかを把握し、自社に合ったオプションを選ぶのは簡単ではありません。
両社とも従量課金制を提供する一方、1年または3年間のリソース利用をコミットする顧客向けに割引も用意しています。一般に、割引率が高いほど柔軟性は下がりますが、各プランには細かなオプションや条件が付随しており、選択を難しくしています。compute commitmentsから最大限の価値を引き出すには、自社のクラウド環境とインスタンスの利用状況を高い解像度で可視化することが欠かせません。
詳しくは、AWSとGoogle Cloudの割引プランガイドをご覧ください。
クラウドコストを効果的に管理する方法
クラウドで成果を出すには、適切な投資のアプローチが必要です。具体的には、価値を生む領域に予算を集中させ、支出の内訳を明確に可視化し、コストをプロダクトライフサイクルに組み込み、コストガバナンスを自動化することです。
コスト管理は「コスト削減」と同義ではないと理解する
クラウド支出を削ることだけに注力しても、ビジネス目標の達成にはつながりません。クラウドで成果を出すには、クラウド経済が需要によって動く性質を持つことを理解する必要があります。
将来の需要を正確に予測できるほど、得られる割引は大きくなり、支出に関するcommitmentsの試算精度も高まります。クラウドコストをKPIと結びつければ、コストの増加や最適化がビジネスに与える影響を測ることができます。そのためには、自社のクラウド支出と配分を明確に可視化することが前提になります。
可視化を最優先する
ホスティング型サービスとcloud-nativeサービスは 2022年にIT予算全体の26%を占める と見込まれており、IT責任者はインフラコストを計画するためにクラウド支出の透明性を確保する必要があります。しかし、クラウドインフラの複雑化が進むなか、支出の追跡やコストの適切な配賦は難しさを増しています。きちんと運用されたタグ付けは、リソースの識別・追跡・管理を正確に行えるようにし、複雑化の影響を和らげる助けとなります。
コストをプロダクトライフサイクルに組み込む
機能リリースと同じ感覚でEngineersがクラウドコスト管理に取り組めるようにするには、開発の初期段階から予算意識を業務に組み込む必要があります。予算は、デリバリーと同じくらいライフサイクルに不可欠な要素であるべきです。
各チームには、支出をモニタリングし、予測を立て、コスト最適化のポイントを見つけ出すための十分なリソースが必要です。何を期待されているのか、コスト超過した場合にどうなるのかも明確にしておく必要があります。
適切なタグ構造があれば、各チームの予算目標を設定する際にクラウドコストへの当事者意識を持たせやすくなります。どの環境のどのサービスが対象かが明確になれば、チームはコストをより整理しやすくなります。
大部分を自動化したコストガバナンスを導入する
うまく自動化されたコストガバナンスの仕組みは、予算超過、コストの急増、放置されたリソースや低稼働のリソースといった問題をアラートで知らせてくれます。支出管理を可能な限り自動化することで、ポリシーの策定と適用を効率化し、モニタリング、予算計画、チャージバック、ショーバックを実装できます。
専門家の支援を活用する
どのアプリケーションを既存のデータセンターに残し、どれをクラウドへ移すべきかを判断したうえで、外部の専門知識を取り入れれば、クラウド活用の計画とコスト管理を一致させやすくなります。最適化、分析、ガバナンスをクラウド戦略の中核に据えるための技術と知見を備えたパートナーに支援を求めましょう。
次に取るべきアクション
クラウドコストの仕組みと最適化の方法を理解していなければ、クラウドをビジネス目標の達成に活かすことはできません。とはいえ、コスト管理の基本を押さえながらコスト効率の高いクラウドアプリケーションを構築することは、決して難しくありません。経験豊富なクラウドパートナーは、賢いクラウド最適化、分析、ガバナンスのツールに加え、クラウド移行からFinOpsまで幅広いテーマで専門的な助言を提供します。その支援を活かせば、業界の最前線に立ち続けるためのクラウドプロジェクトを自在に展開・運用できるようになります。
詳しくは ガイドをダウンロード してご確認ください。
