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FinOps文脈におけるEVMの計算方法

By Hili ParyentiNov 10, 20245 min read

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本記事はZephyr Globeに掲載された記事の転載です。

Earned Value Management(EVM)はプロジェクトマネジメントで広く知られる手法で、Cloud FinOpsの「Quantify Business Value(ビジネス価値の定量化)」ドメインにも効果的に応用できます。このテーマは、拙稿Applying Earned Value Management (EVM) to FinOps Cloud Cost Managementでも取り上げています。EVMに馴染みのない方は、まずそちらをご一読いただくことを強くおすすめします。

前提条件

EVMを効果的に計算するには、以下が揃っていることが前提となります。

  • 明確に定義され、十分に理解されたUnit Economics。これは「Quantify Business Value」ドメインに含まれるケイパビリティのひとつです。予算期間におけるUnit Economicsの目標値が定まっていることを前提とします。例えば「年間の注文あたりコストX円」といった目標です。
  • 予算期間に対して確立された予算(Budget)。より具体的には、予算サイクル内の各期間でどれだけ支出する見込みかを示した計画です。予算サイクルが年次なら、少なくとも月次レベルの数値を用意することをおすすめします。この予算、すなわちPlan Value(PV)は、BudgetingおよびPlanning & Estimatingケイパビリティのアウトプットです。

はじめに

Earned Value、%CompleteとUnit Economics

Earned Value(EV)は、Planned Value(PV)に%Completeを掛けた値です。EVもPVも評価期間の累積値である点に注意してください。ここでいう評価期間とは「分析対象の月までの累積分」を指します。例えば3月のPVは、年初から3か月間の累積額です。

FinOpsにおける%Completeは、評価期間のUnit Economicsと目標Unit Economicsとの比率を表します。例えば3月時点で、注文あたりの累積コストが$0.54、目標が$0.50といったケースです。

Earned Value Managementの計算

簡単な例で計算方法を見ていきましょう。予算サイクルは1月から12月までの1年間とします。分かりやすくするため、月次支出は一律$100の見積もりとします。PVは各月時点での累積額です。

シナリオ1 – 予算内(Under Budget)

5月(第5月)を評価時点とし、%Complete、Actual Cost(実コスト)、および累積Actual Cost(AC)の計算値が以下のとおりだったとします。

これらの数値をグラフに落とし込み、もう少し掘り下げてみましょう。

コスト差異(Cost Variance)は、Earned ValueとActual Costの差です。これが、その時点までに実際に得られた価値を表します。

Earned Valueは、想定と実績のUnit Economicsを反映することで、ビジネス価値を織り込んだ指標となります。

シナリオ2 – 予算超過(Over Budget)

次に、PVとACは同じでも、Unit Economicsが想定どおりに進まず、%Completeが異なる結果となったケースを考えてみましょう。

Actual(実績)とPlan(計画)だけを見ていると、$25の予算内という一見良好な結果に惑わされかねません。しかし実際にActual(AC)をEarned Valueと比較すると、$150の超過であることが分かります。つまり、コスト差異は-$150のマイナスです。

このシナリオが示すのは、計画より少ない金額しか支出していなくても、コスト差異がマイナスであるため、期待されるビジネス価値には届いていない、という事実です。

Cost Performance Indicator

Cost Performance Indicator(CPI)は、Earned Value(EV)をActual Cost(AC)で割って求めます。

この式を2つのシナリオに当てはめると、結果は次のとおりです。

Cost Performance Indicatorは以下のように読み解きます。

  • CPIが1より大きい:ビジネス成果に対して支出が抑えられている状態
  • CPIが1より小さい:支出が過剰で、目標に届いていない状態
  • CPIが1と等しい:計画どおりに進捗している状態

CPIは、たった1つの数値でクラウド支出が期待どおりの価値を生み出しているかを把握できる、有効な指標だと言えます。

まとめ

本稿で提案するFinOpsへのEarned Value Management(EVM)の適用は目新しく感じるかもしれませんが、EVM自体は長年にわたって使われてきた手法です。AC、EV、PVといった用語は、日々のクラウドコスト管理で使う言葉とは結び付きにくいかもしれません。それでもあえて従来の用語を使い続けるのは、長年にわたり蓄積されてきたEVMに関する膨大な投稿・記事・動画などの資産を、誰もが活用できるようにするためです。

EVMの優れた点は、期待されるビジネス成果と実コストの状況を、いくつかの指標に凝縮し、金額として定量化できることにあります。

本記事では、Cost Performance Indicator(CPI)を簡単にご紹介しました。CPIは、実支出を計画およびビジネス成果と対比し、1つの数値にまとめる有効な手段です。もちろん、万能の数字ではありません。あくまで「指標」であり、現状を素早く把握して、必要な議論を促すためのツールとして捉えるべきものです。

クラウドFinOpsでEarned Value Managementを活用するには、それなりの前提が必要です。適切なレポーティングと分析のインプットを揃えるためには、少なくともPlanning & Estimating、Budgeting、Unit Economicsといったケイパビリティで初期段階の成熟度が備わっている必要があります。

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